症状の韓国表現(2)담(痰) 결리다
今もまだ路面に残っている様子は
今年の寒さを象徴しているようです。
ところで、この「冬」ですが
陰陽五行説によると
季節を五季として分類した中の
五性の「水」の性質に属します。
五臓六腑で「水」に属するのは「腎、膀胱」ですね。
寒さで冷えることもありますが、
五行の性質的分類から「腎、膀胱」に関わる病気になりやすいとも言われています。
そのため、東洋医学的概念で考えた場合、
腎経、膀胱経が原因となる腰痛が
冬に発症しやすいと考えるわけです。
冬の腰痛が統計的に他の季節と比較して多いかどうかはわかりません。
夏は活動的になりますし、別な原因で腰痛を起こすケースが増える可能性もありますから...。

ところで、
日本には「ギックリ腰」という特有の言葉がありますが
これは症状を一言で表す非常に便利な名詞で
これに該当するハングルの名詞はおそらく無いと思います。
ソウルに来たばかりの頃、マッサージ店で仕事をしたのですが
あるお客さんが
「어제 담 결려서 허리가 아프다」と言うのです。
어제(昨日)
허리가(腰が)
아프다(痛い)
とう言葉は日常会話的な言葉として知っていましたが
담 결려서
という表現を初めて聞いた瞬間でした。
日本語が堪能な韓国人の友人に聞いたところ
「日本でいうギックリ腰だ」
というのです。
「なるほど」と思いつつも...
はて?
결려서は、形容詞で状態を表しているのだろうと想像できましたが
담とはなんなのか...
どうも筋肉とか違うような印象だし...。
そこで、調べてみた結果
「痰」であることがわかりました。
え? 「痰」って、のどにからむ痰?
と思われるかもしれませんが、
これが東洋医学の概念なのです。
痰湿とか痰飲と呼ばれ、病気や痛みを起こす原因の一つとされています。
のどにからむ痰を想像すればわかりますが、
東洋医学で言う「痰」とは、水分を含んでいながらもドロドロとしており
滞ることで血流を阻害する物質であり
体に溜まって病気を引き起こすと考えたわけです。
そのため、その「痰」が溜まった結果
血流が悪くなり筋肉が硬直し
何かの拍子に痛みが発症したことを
「담(痰) 결리다」と表現していたのですね。
東洋医学をベースとして医療が発達してきた歴史背景のある
韓国らしい表現の一つだなと思いました。
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